【聖火のキセキ熊本】撮影後記

天気予報は雨。

スマホで何度更新しても、画面上の雨のマークは変わらない。

 

そんな不安の中始まったのが、今回私が初めて参加させて頂いた「聖火のキセキ」の熊本ロケでした。

羽田から飛行機で約2時間かけて到着したのは、阿蘇くまもと空港。ロケ開始の前日に熊本へ入りました。天気は、曇りでどんよりしていて、熊本市内は予報通りの雨でした。

さすがに私たちスタッフも、これでは翌日のロケも厳しいと本音がポロリ。なんだか雲行きがすでに怪しい様子でした。当番組の主旨では、1964年に全国各地で行われた東京五輪の聖火リレーを聖火ランナーの方々と実際のコースを歩き、当時を振り返ってもらいます。しかし、雨となると、出演者への負担になることはもちろんのこと、撮影スタッフにとってもやりづらい、そして、番組の映りとしても良くありません。その為、できるだけ晴れたところでの明るい画が欲しいところですが、ロケ日にちょうど雨マークが重なるという不運に見舞われてしまったのです。

しかし、そんな希望の薄い天気予報をものともしない方が1人いました。今回の番組ナビゲーターを務めてくださった、2008年の北京オリンピックで陸上4×100mリレーで日本男子初のメダルを獲得したオリンピアンの末續慎吾さん。ロケ前日の打ち合わせで、末續さんは、「自分は晴れ男だから大丈夫ですよ」と、非常に前向き。太陽のように明るく笑顔で自信満々だったのですなんと以前には熊本に帰省された際に、熊本を通過する予報だった台風が、末續さんが熊本入りすると、来なかったという伝説も。私たちスタッフは、その強運を信じて翌日に備えました。

ロケ当日、空に太陽が見えることはなかったものの、なんと雨が止んでいたのです。天から今にも雨のしずくが落ちてきそうなでしたが、そこはグッと堪えてくれていました。「このままなら」と、撮影スタッフは一気に士気が高まり、予定通りのスケジュールで撮影に挑みました。

いつ降り出すかもわからない空模様の中、1秒も無駄にすることはできないと現場には緊張感が走っていました。途中雨がパラパラと降り、出演者に傘をさして待機してもらう場面もありました。雨が強まれば、予定していた画は撮れない。つまり、番組の構成にも響くことになる為、天候に左右される撮影現場の難しさを私は感じました。しかも、余計なことに私は、ディレクターの指示を勘違いし、出演者のタクシー移動に無駄な時間をかけさせてしまい、撮影時間を遅らせてしまい、スタッフはピリピリムードに。しかし、そんな中でも末續さんは、雨で足元が悪いにもかかわらず、地元熊本での撮影ということもあってか、終始リラックスし、撮影を楽しんでいました。どんな環境でも、与えられた環境でベストを尽くすという一流アスリートの精神が末續さんにはあると私は思いました。久しぶりに母校を訪ね、先輩方と話す末續さん。熊本弁も出て、地元トークに花を咲かす和やかな雰囲気に包まれた撮影は、天候による大幅な変更もなく、なんとか終えることができました。これぞ聖火のキセキ「熊本」の「奇跡」でした。

ロケ終了後、雨が急に降り出し、まるで私たちの撮影が終わるまで雨を溜め込んでいたのかような降り様でした。まさに、晴れ男末續さんに救われた1日でした。末續さん、ミラクルをありがとうございました。

今回初めて参加させて頂いたロケで感じたことは、先を読んで動くことの重要性です。撮影にはスタッフ、出演者、現地の方など、いろいろな方が関わります。限られた時間で円滑に撮影を行い、ディレクターが求める画を撮る。その為には、ADの私がいつも以上に周りへの気遣いを怠らないことが必要だったと痛感しました。今回のように天候が悪くなれば、現場の雰囲気や士気にも影響します。そういうことを想定した上で、常に周りを注視し、次にどんな状況になるのか、それには自分がどう動くのがベストなのかを考え、いくつもの選択肢を用意出来ていれば、柔軟な対応もでき、スムーズなロケに繋がると思いました。雨という不安要素がある中でも、みんなが集中し、心地よく撮影に臨めるような雰囲気と環境を作る。そのことでそれぞれが最大限のパフォーマンスを発揮し、全体として良いものが撮れる。そういう場づくりと雰囲気を作りが、私の果たすべき役割だと思いました。

今回のロケは、初めてということもありましたが、同じロケはもう二度ありません。ですので、今回の課題と収穫を次回に活かせるようしっかりと振り返り、自分の経験値としてしっかりと消化して次の番組制作に臨みたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

安田

  • このエントリーをはてなブックマークに追加